ハンドルが回りづらい万力『ERON No100』をメンテナンス!(分解してグリスアップ)

レストア(修理や修繕など)失敗もアリ!

前置き

いつも使用している万力『ERON製 型番:No100』のハンドルが回りづらくなり、物を挟むのに支障が出るようになりました。物を挟んでいないのにハンドルが重く、このままだと壊れそう!( ;´Д`)ヤバイ

長年使用しているので経年劣化も考えられますが、一番の原因は強く締め過ぎたりグリスアップなどのメンテナンスを怠ったのが故障に繫がったと思います。昔からハンドルを回すと『ズガガガッ!』と異音が出て振動していたので潤滑が足りていない状態でした。

という事で、万力をメンテナンスして再使用できるか調べてみます!( ̄д ̄)グリスアップで直らんかね

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万力(ERON No100)の状態

こちらが長年使用してきた万力になります。ネットで調べてみると、ERON(エロン)は株式会社ナベヤのブランド名で標準精密治具や精密マシンバイスに使用されているみたい。そのNo100という型番で、挟む部分が100mm開くモデルのようです。(型番はNo75~No250まである)

いつもは棚にボルトナットで固定していたので、今回初めて裏面を見ました。錆よりも穴が開いている事に驚きましたが、これは鋳造した時にできた穴で元々開いているものだと思います。(゚∀゚)多分

※古いものなので、上記の説明内容が間違えている可能性アリ!
金口(挟む部分の交換できる金属)に使用されているネジがマイナスネジなので、かなり古いものだと思われる。現行モデルだとプラスネジになってます。

ちなみに、金口のマイナスネジが1本紛失していたのでピッチが合うボルトを加工して取り付けてます。

万力の分解開始!

※作業は自己責任でお願いします。また、年式で分解方法が異なる可能性があるので注意!

分解の方法が分からないので、万力の構造を調べてみました。大雑把ですが、4つのパーツで構成されているようです。1がスライドする可動部で2が固定部。3がハンドルを受ける雌ネジ部品。(固定部の中に入っている)4がハンドルで軸に雄ネジが切られています。<(_ _)>下手くそな図ですみません

それで分解する方法は、4のハンドルを外す→3の雌ネジ部品を外す→1の可動部と2の固定部を分けるの順番で外せるような感じでした。また、固定ネジが使用されていないので固定ピンを抜けば簡単に分解できるみたい。

※金口(挟む部分の金属)だけマイナスネジで固定されてます。

ハンドルを外す

ハンドルを回し挟む部分を開けた状態で裏返します。すると、可動部の中に『バネ』『ワッシャー』『固定ピン』があり、ハンドルが抜けないようになってました。(´゚д゚`)グリスがカピカピだし汚い!

簡単に外せるかと思いましたが、バネに結構なテンションが掛かっているので固定ピンを抜く作業に苦戦。CRCスプレーで潤滑してハンマーとポンチで固定ピンを少し打ち出し、ハンドルを半回転させプライヤーでやっと引き抜く事が出来ました。(;^ω^)力技だぁ

固定ピンが抜けたら、ハンドルを回して引き抜きます。

雌ネジ部品を外す

次に固定部の中に入っている雌ネジ部品を取り出します。可動部を引き出し、固定部にある雌ネジ部品の固定ピンを抜く。(雌ネジ部品を取らないと、可動部を固定部から引き抜く事ができない)

こちらのピンはハンマーで叩けば抜けたので簡単に外せました。ただ、強く叩きすぎるとピンの頭が潰れて抜けなくなるので注意。

あとは可動部を押し戻し、固定部の内にある雌ネジ部品を取り出します。

これで、雌ネジ部品を取り出す事が出来ました。最後に可動部を引き出して固定部から外せば分解終了。

万力の分解完了

万力の分解が終わりました。こうして見ると、使われている部品が少なくてビックリ!。個人的に大きい歯車とか入っていると思っていたので、こんなシンプルな構造だったとは。(`・ω・´)シンプルイズベスト

各パーツを確認してみると、今回の故障はハンドルの雄ネジと雌ネジ部品の潤滑が足りず、摩耗したのが原因のようです。(両方のネジ山が摩耗してガタガタする)とりあえず、まだ使えそうなのでグリスを塗布して再利用したいと思います。ちなみに、可動部品と固定部品は特に問題なさそう。( ̄▽ ̄)使えそうで安心!

各パーツ清掃

長年使用し全体が汚れているので、各パーツ清掃していきます。パーツクリーナーだと大量に消費するので、灯油(洗い油)を使用しました。(・ω・)ノ揮発しないのでゆっくり作業出来る!

灯油では落ちなかった可動部の固着した汚れは、カッターで削り落とします。ちなみにこの固着した汚れのせいで、固定部から引き抜くのが大変だった。(グリスとホコリが固まったものっぽい)

こんな感じで、各パーツの清掃が完了。

グリスアップしながら組み立て

グリスを塗布する前に、雌ネジ部品の先端に欠けた部分があったので取り除きました。多分、強く締めた時に欠けたと思われる。雄ネジは問題なく入るので、ネジ山の修正はしません。

では、ハンドルの雄ネジと雌ネジ部品にモリブデングリスを多めに塗ります。グリスを塗ったら両方の部品を合体させ、ハンドルを回し馴染ませました。(/・ω・)/ヌリヌリ

可動部と固定部の接触面には、高級オイル(ベルハンマー)を塗布します。金属が密着しているような所は、固体のグリスよりも液体のグリスの方が馴染むのかなぁ~と。(;^ω^)どうなんでしょう

あとは、万力を組み立てていきます。(錆止めに万力全体にミシン油を塗布)

最後に、ハンドルの固定ピンを戻して組み立て完了。バネを縮めないと固定ピンを挿せないので、マイナスドライバーを使いなんとか固定ピンを取り付けました。

万力のメンテナンス完了!

万力『ERON No100』のメンテナンスが終わりました。錆止め塗装や再塗装などしてないので、メンテナンス前と見た目は変わらないですね。(笑)

問題は、万力の開閉がスムーズに出来るのか!さっそく試してみます。(/・ω・)/クルクル

結果は・・・、スムーズに開閉出来るようになりました。メンテナンス前と比べると『ズガガガッ!』との異音も鳴らないし、ハンドルを回しても抵抗を感じない。(`・ω・´)指1本で回せるぞ!

しかし、ネジ山は摩耗しているので強く締め過ぎたり乱暴な使い方はしない方がよさそう。(可動部を掴んで前後に揺するとガタガタ動く)まぁ、物を挟む事は出来るのでこれからも使用していきたいと思います。

また、定期的に注油などのメンテナンスも必要ですね。万力の横に注油する穴があったので、ここから油を注せばOK!(横穴から注油する際は液体グリスの方がよさそう)

まとめ

分解メンテナンスで、万力を再使用出来る状態になったので良かったです!(;´∀`)焦ったぜ

切断や研磨などの作業でよく万力を使用するので、壊れると困るんですよねぇ。新しく購入するにも、新品の大きい万力はお値段が高いので躊躇してしまう。『ERON No100』の新品は、¥27,000円ぐらいみたい。

中古品だと古い型の万力が¥3,000~¥5,000なのでお手頃ですが、壊れていないかしっかり画像を確認した方がいいと思います。ネジ山までは見れないと思うので、そこは運かな!(笑)

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